科学系情報メディアAnnual Reviewsに掲載された報告によると、都市部に多いとされる大気汚染や騒音などさまざまな環境要因が精神健康上のリスクとなることが少しずつ明らかになってきたということです。最もはっきりとした精神疾患リスクになっているのが、騒音です。騒音のストレスがうつ病などの精神疾患の原因となることを示す研究結果は多数報告されており、騒音と精神疾患との間には強い因果関係が認められるとのこと。一口に騒音といっても原因はさまざまですが、航空機・鉄道・自動車などの騒音に長時間さらされるような生活を送っている人には、うつ病と診断されたり、医師から抗うつ薬を処方されたりしている人が多いといった研究結果もあることから、自動車や交通機関とは切っても切り離せない都市部での生活には相応に精神疾患のリスクがあるといえそうです。
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音楽療法、未熟児の脳の発達に効果あり?スイスで研究始まる
音楽の力で未熟児のケアを図る音楽療法が、スイスの病院で行われている。音楽療法士のフリーデリケ・ハスルベックさんは、歌を通じて未熟児と親がリラックスし、触れ合いを深める手助けをしているほか、音楽療法が未熟児の脳の発達に効果があるのかについて研究している。首都ベルンにある、ベルン大学病院の新生児集中治療室(NICU)は明るく広々としている。看護師が入り口に並んで座り、部屋いっぱいに置かれた保育器の様子を絶えずチェックし、新生児の心拍数などのデータが写るモニターに目を光らせる。部屋のあちこちに、小さな我が子を抱く親の姿が見える。
見つめ合う2人の脳はシンクロしていることが最新の脳神経科学により明らかに
脳の働きにはまだ未知の領域がたくさん残されていますが、とりわけコミュニケーション中の人々の脳に何が起こっているかは長い間よく分かっていませんでした。しかし、技術の進歩により少しずつ脳に何が起きているのか分かり始めています。「対話脳神経科学(interactive neuroscience)」と名付けられたこの新しい分野について、科学系メディアScientific Americanがまとめています。
大気汚染は若者に精神病的症状を引き起こす?
大気汚染が深刻な環境で暮らす10代の若者は、不眠やイライラ、幻覚や妄想など精神障害の症状を経験するリスクが高まる可能性があることが最新の研究で分かった。 過去の研究で、都市生活者は幻聴や被害妄想など統合失調症のような症状を発症しやすいことが示唆されている。2050年までには世界の人口の70%が都市で生活すると予測されているため、これは看過できない問題だ。
週末の“寝だめ”効果なし?米研究チームが実験
平日の睡眠不足を週末に補う、いわゆる「寝だめ」の効果について、アメリカの研究チームが実験して調べたところ、睡眠不足を十分補えず、効果がないことが分かったとしていて、ふだんから1日7時間の睡眠をとるよう勧めています。この研究は、アメリカのコロラド大学の研究チームが28日、科学雑誌「カレント・バイオロジー」に発表しました。
緑の少ない場所で育った子どもは精神疾患のリスクが55%も高い
緑地の少ない場所で子ども時代を過ごした人は、その後の人生において精神疾患になるリスクが55%も高かったと最新の調査で示されました。都市は建物の建設で緑地が犠牲になりがちですが、人の生活に有益な「緑地」を考慮した都市計画の必要性が叫ばれています。デンマークにあるオーフス大学の研究者たちは1985年から2013年までに撮影された衛星写真を使って、0歳から10歳までのデンマークの子ども94万3027人がどれぐらい緑地の近くで暮らしていたのかがわかる地図を作成しました。調査では対象者のメンタルヘルス、社会経済的な状況、居住地といった時系列的なデータを収集し、研究者は子どもたちの「緑地へのアクセスしやすさ」と「メンタルヘルス」とを比較。
なぜ沖縄県中部地区の住民には心筋梗塞や脳卒中患者が多いのか
それは「騒音汚染」です。騒音の出現元は自動車だけでなく、米軍基地所属の航空機があります。騒音によって、血液中のアドレナリンとコルチゾールが上昇します。アドレナリンは交感神経や副腎髄質から分泌されるもので、血圧と心拍数を上昇させます。コルチゾールは副腎皮質から分泌され、これも血圧を上げる作用があります。また、全身の血管は収縮します。これらにより、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病が起こりやすくなります。
不眠症に対する就寝時の音楽聴取に関するランダム化比較試験
音楽は、不眠症を軽減するための自助ツールとして、よく用いられる。デンマーク・オーフス大学のKira Vibe Jespersen氏らは、不眠症改善のための就寝前の音楽聴取の効果を評価するため、評価者盲検ランダム化対照研究を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年1月24日号の報告。
睡眠不足だと痛みは強まる!長さではなく、大切なことは?
不眠でずっと悩んでいる人は、睡眠不足と痛みの関係について科学が示していること、つまりこのふたつが関連し、それぞれがお互いを悪化させているということをよくご存知かと思います。たとえば、腰痛や坐骨神経痛や関節痛など、慢性的な痛みを抱えている人は睡眠不足になることがよくあります。熟睡できないと翌朝の腰痛はひどくなり、するとその日の夜に熟睡するのががますます難しくなるという具合です。
青いライトで駅の自殺は防げるのか 日本
心が落ち着く青い色のライトで、駅の自殺発生率を下げることができる。日本の鉄道会社はかつて、そんな考えに行き着いたようだ。人々の行動をそれとなく誘導する手法は「ナッジ」と呼ばれるが、青いライトのナッジは本当に効果があるのか。あるとしたら、それはどういう仕組みなのだろう。